鎌倉買い食いツアー 「カツレツ亭稲村」のコロッケ

黒猫は鍵っ子だった

今はそんな呼び方をしないのかな?

 

両親が働いていているから、自宅の鍵を持ち歩いている子のことを鍵っ子と呼んでいた時代。給食を食べてから夕方まで、何らかの方法で小腹を満たさないといけない。

そこで簡単な料理を覚えたりする必要があったし、安くて小腹を満たせるものを少ない小遣いの中で買わないといけなかった。

 

黒猫の住んでいた団地の商店街に、新しい肉屋がオープンしたのは、黒猫が小学校高学年になった頃。前も肉屋だったけど、なんか辛気臭い店で潰れたんだ。そのあとに蛍光灯が煌々とした肉屋が新たに入ったんだね。

その肉屋の店主は、団地の鍵っ子達が夕方になると腹を空かせた野良猫みたいになってるのに目をつけたのかな?(笑)10円でコロッケを売り出したんだ。プレーンなコロッケとカレーコロッケは10円、ハムカツは15円、メンチカツは30円だっけな・・・

うまい棒より腹を満たせるコロッケの出現は、黒猫の小学生ライフを一変させたね。草野球をしたあと、団地一周自転車レースをしたあと…そんな時に栄養補給が暖かい食べ物でできる。最高だった。そしてその感覚は何十年経っても、黒猫の体に習慣として染み付いている。

小腹が減ったらコロッケ

 

小腹が減れば安くて旨いものを買い食い。もしくは自炊。それが鍵っ子が成長期を過ごすための術だったんだね。

 

我が家のチビ(高3男子)は、そんな黒猫が飢えなかったら、どんな人間になるのか?という壮大な実験(子育て)の被験者な訳だけど、小腹が減ったら自炊って判断をするみたい。高1までママが家にいて、小腹が減ったら手作りの食事で満たせたからではないかと考察してる。買い食い癖は黒猫一代で終わるみたい。

 

 

 

清水湯に入って、昼飯を食べていないのに気がつき、長谷のなみへいで鯛焼きを食べたけど、まだ小腹が減ってる。GSXde極楽寺の駅前を通り過ぎた時に、そうだ!カツレツ亭がやってるならコロッケ食べよう!そう閃いた。

 

カツレツ亭は稲村の駅の近くにある、小さなトンカツ屋さん。

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黒猫は昼飯にカツレツ亭のカツカレー弁当を食べるのが好き。あとここのポテトサラダはカラシが効いてて好き。でも一番好きなのはコロッケ

 

揚げ置きはしていない。

価格は100円

 

GSXを店の前に滑り込ませ、店の暖簾の奥のショーケースにコロッケが残っているのを確認して、エンジンを止めた。

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100円のコロッケを一つ、わざわざ揚げてもらうのは心苦しいけど、持ち帰っても誰も喜んで食べないので、黒猫は自分の分だけど買う。

 

シンプルなポテトコロッケ。肉っ気は無い。パン粉が荒く、揚げたてを食べると表面はサクサク、ポテトはフワッとしてる。すごくシンプルな味。肉の味付けがあるポテトがねっとりしたコロッケが多いけど、ここのは潔いジャガイモの味。揚げ油の味がそれを邪魔することは無い。

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パン粉にこだわり、マッシュポテトにもこだわり、油にこだわったコロッケ。旨いに決まってる。店主のおじさんの紳士的なところや、仲の良さそうな奥さんが誠実に作っている味。

 

 

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ただ一つだけ気をつけないといけない。揚げたてを食べる時は頭上からトンビが貴方を狙っているのをお忘れなく。多くの観光客(の持っている食べ物)がトンビの生贄になっているんだ。

 

買い食いをする時は建物を背にして喰らうべし

それがこの海の町の掟(笑)

 

tabelog.com

 

 

10円コロッケの肉屋と同じ商店街の中でパート勤めをしていた母親が、黒猫がコロッケを食べてる姿をよく見かけたんだろうね。コロッケが好物だと勘違いしていたみたい。

休みの日には、大量にコロッケを作って揚げてくれるんだ。そのコロッケは、すごくシンプルで、肉屋のコロッケみたいに色々な味付けがされてる訳じゃ無い。すごくシンプルなポテトの味。もちろん黒猫はポテトを潰すの手伝ったさ。そして喜んで食べたよ。お腹が割けるくらい一杯ね。

「本当にあなたはコロッケが好きね」

彼女はそんなことを言ってたな。 

 

16歳で家を出て暮らしていた黒猫が、たまにフラッと実家に帰ると、その夜はいつも大量のコロッケが用意されていた。あのシンプルなポテトのね。

 

でも母さん違うんだよ。

黒猫はコロッケが好物なんじゃ無いんだよ。

母親の手作りの料理でお腹を満たしたかったのさ。

 

www.blackcat-kamakura.com