海カフェdiary~軍港(横須賀某所)
マダムを誘う機会がめっきり減った。
年齢や忙しさだけが理由じゃなく、もう全てを手に入れてしまったからじゃないかな?
そうなると黒猫が一緒に海を眺めて珈琲を飲んで過ごしたい女性は、世界中に2人だけという事なんだろうか?
わからない・・・
一人でふらっとオートバイで出かけ、
好きな海に一人佇んでコーヒーでも飲んで気晴らしだな。
黒猫はこれまでに百万回は生きてるんだけど、今回は誰の飼い猫でもなくなったんで横須賀で船に乗る仕事を始めたんだ。
船の仕事は景気の波があって、去年の秋から乗船する機会がすっかり減ってきてる・・・仕方ないよね。まぁ他の稼業でも生きてはいけるんで気長に情勢をみてるしかない。
しばらくあの港にも行ってなかったんで行ってみるか。
横須賀のあの港での仕事はすっかり無くなったと聞いていたんで、台船の上でゆっくり珈琲を飲めるなって思いついた。
ゲートをくぐって到着。
??????
通船見張所の鍵が開いてる。浮き桟橋のゲートも開けっ放し。黒猫の大好きな古くて錆だらけのあの小さな白い船もない。ロープがコイルされずに雑に投げ出されている。
誰かがあの船を出したのかと、沖を眺めると米軍の燃料船が基地に着岸している。まだオイルフェンスに囲まれてないから、まだ到着したばかりだな。ってことは通船の仕事が入ったということか。
一昨年の夏、黒猫の乗った船が何日も何日も何往復もして生コンを運んで作られた海上自衛隊の潜水艦用と聞いていた桟橋には南極観測船「しらせ」が停泊している。
しばらく海を眺めていると、あの古くて錆だらけの小さい白い船が沖から戻ってくるのが見えた。仲間の表情は見えないけど黒猫が岸にいるのを不思議に思っているんだろうな。船に飛び乗り、トモのロープをとってあげる。
世間話は愚痴と悪口と溜息ばかり。
ただ有益な情報もあって前回の満月の晩に、大量にイワシが入ってきて。それを追って大量のスズキが我々の船を取り囲み、竿を振ると入れ食い状態だったと言う。東京湾のスズキと違って刺身で食べると旨かったと・・・そんなこと今まで一度もなかったぞ?
あぁ・・・黒猫は下船するとスグに家に帰っていたからか
一人きりにやっとなれたんで、台船に乗り込み珈琲タイム。
17時のラッパの音が聞こえてきて、自衛隊の艦船の灯が点る。この港は本当に独特の雰囲気があっていいな。関係者以外立ち入り禁止のここに居られる幸せが、大してギャラの良くない仕事を続けている理由なんだろうな。
今回の生命は、白い猫を失った後、百万回泣いた後に本当の死を迎えるのだろうか。
それとももう一度生まれ変わるんだろうか?
そのうち嫌でも答えは出るし、それまでせいぜい楽しんで暮らしてみるとするか。
さしあたっては次の金曜が満月か。
フライロッド持ってこの港に戻ってこないと!!!!
めっちゃ楽しみな。
「スズキLOVE」
お勧めの店↓ここの話はまた次の機会に〜