オートバイと死

夏の終わりに、指の先っぽをほんのちょっぴり海の事故で無くしたんだけど、やっと新しい爪に指先が覆われてきた。

手術をしてくれたドクターからは、「思ったより組織が再生しましたね。移植手術の必要はありませんね」と言われた指先は、軽い痺れと縫い傷が残ったけど、昔の指紋認証の情報では、スマホが起動しないくらいの不便さしかない状態にまで回復した。

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さて・・・・

 

昨日の夜、彼女からある若者が死んだと聞いた。

うちのチビの一つ上の学校の先輩。

黒猫の彼女とも浅からぬ縁がある子だった。

オートバイの運転中、何らかのトラブルで反対車線に飛び出てしまい路線バスに。

100キロのスピードで40キロで走ってくるバスにぶつかれば、生身の身体がどんな風になるのか想像がつく。

 

この歳になって、またこのみぞおちに何かがこみ上げてくる感覚を思い出した。

 

中学の頃に何度か話をしたことがある暴走族だった先輩。

一緒にバンドをやっていたギターリストの彼女。

出入りしていたオートバイ屋の同じ歳だったメカニック。

 

みんな突然いなくなるんだよね。

 

黒猫はオートバイに乗る時にいつもビビってる。

家族には運転が上手いとか自信満々に言ったりするんだけどね。

18歳の冬、大事だった2サイクルの250ccを廃車にした時からずっとビビってる。

 

大人になって家族が出来た時に、弟から言われたんだ。

「オートバイって乗り物はとても危険だよ。移動手段なら車でもいいはずだよね?

事故に遭った時のことを考えないの?自分が楽しいからと乗り回していて死んだら?

残される人の事を考えず、楽しいって理由でオートバイに乗るのは傲慢だよ。」

ってね。

 

彼は子供の頃からとても冷静なヤツで、石橋を叩いても渡らないタイプで自分のことを臆病な人間と言っていた。楽しそうだと感じたら、その先に何があるかわからなくても、とりあえずダイブする黒猫とは大違いだったんだ。

 

その話を聞いた時、すごくイラっとしたけど、家族を持って少しは大人になっていたから、その時は彼の話をウンウンと聞いていたんだ。そして考えてみるとだけ答えたんだ。

 

今こうして乗っているのは、時間をかけて色々と考えたんだ。

出した答えはそれでもオートバイに乗って行こうと。

だって大好きだから。

その為には常に臆病者でいようと決めた。

 

人と走っていても、自分が制御できるスピードで無いと判断したら、その時は置いていかれようと。オートバイに乗っていて偶然生き残ったんじゃなくて、必然として乗り続けていきたい。もっともっと楽しみたいからね。

 

そして大好きな家族の心にぽっかりと穴を空けたくないから。

 

 

船での仕事中の事故については・・・もっと考えないといけないと感じてる。

一緒に働いてきた船乗りの先輩達が、どうして後輩に対してあんな厳しい口調で注意をしていたのか。答えが出たような気がする。

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 切断面に人工皮膚を2枚縫い付けて整形した所は皮膚が覆ってくれたんで指先の形になっている(笑)

 

細胞たちよ!今回もお疲れ様!って気分。